Web広告の出稿に必要な『発注力』こそ中小企業が持ちたいマーケティング力
- tetsu
- 7月21日
- 読了時間: 6分
更新日:8月19日

「広告代理店にデザインを発注したことがありますか?」
そんな質問に「ある」と答える企業は、非常に多くあります。しかし、デザインではなく、Web広告を発注した企業はまだまだそれほど多くはありません。
日本の企業のうち、広告代理店にWeb広告を発注したことがある企業の割合は、各種調査から次のように推定されています。
企業全体の52%がWebマーケティングを実施(Web広告出稿・SEO・SNS運用などを含む)
そのうえで、Webマーケティングを実施している企業の約70%が、広告代理店などと取引経験あり
この2つの割合から、
0.52×0.70=0.3640.52×0.70=0.364
すなわち、全体の約36~37%の企業が「広告代理店にWeb広告を頼んだ経験がある」と推定されます。
このデータ、正直かなり衝撃的です。
Web広告に関しては、多くの企業が広告代理店と関わっていない現実が見てとれます。
その背景には、やはり『予算の壁』が立ちはだかっています。
広告を出したいけど、月10万円しかない
マーケティングの必要性は誰もが理解しています。
「うちもそろそろ広告を出さなきゃね」
「もっと認知を広げたい」
こうした思いがあっても、実際に広告の相談を持ちかけると──
「月10万円程度の予算では対応が難しいですね」
と言われてしまうケースも、残念ながらよくあります。
代理店側から見れば、少額案件では工数と利益が見合わず、どうしても対応が難しくなります。一方、企業側からすれば「じゃあどうしたらいいの?」と行き場をなくしてしまうのです。

なぜ「月10万円」が少額と言われてしまうのか?
そもそも、広告運用における10万円という金額は、どのように見られているのでしょうか。
依頼を考えたことがある企業の中には「背伸びをして捻出した貴重な予算」であることも多いでしょう。それでも代理店側から「少額」と見なされる理由は、大きく分けて以下の2つです。
① 工数に対して割に合わない
広告代理店に依頼する場合、実際に広告費として使われる金額(例えば Instagram広告への出稿費など)とは別に、企画・設定・運用・レポート作成などの人件費=運用手数料が発生します。
例えば、月10万円の予算のうち、広告費として使えるのが7万円、運用手数料が3万円だったとしても、その3万円で数時間~十数時間の工数を確保するのは難しい。結果として、「運用効率が合わない」と判断され、引き受けを断られるケースが多くなってしまいます。
② 大きな成果が出しづらい
広告費は、掛けた金額に比例してリーチや表示回数が増える世界です。もちろん少額でもターゲティング次第で反応は取れますが、大規模な効果検証や改善サイクルを回すには、ある程度のデータ量が必要です。
そのため、代理店としても「少額だと成果に限界がある」ことを理由に、案件として取り組みづらいと感じてしまうのです。
少額でも広告運用を始める2つの道
とはいえ、広告がまったくできないわけではありません。実は今、小さな会社や個人事業主でも手の届く方法が増えてきています。選択肢は、大きく分けてこの2つです。
① 自分たちで広告運用をする
最近の広告プラットフォーム(例:Meta広告、Google広告、LINE広告など)は、管理画面がどんどん使いやすくなっています。そのため、初心者でもある程度の運用が可能になっています。
ただし――運用には知識と経験が必要なのも事実です。
配信対象の設定ミスで全然届かない
広告文やバナーが刺さらない
結果が出ないけど改善方法がわからない
これらは広告運用初心者がよく陥るポイントです。手を出しやすくなったとはいえ、成果を出すには学習コストや時間がかかるということは押さえておきたいところです。
② フリーランスに依頼する
もう一つの選択肢が、「広告運用のプロ」であるフリーランスや個人事業主に依頼するという方法。
これが、弊所としては最もおすすめしたいアプローチです。
なぜなら、フリーランスや個人事業主は比較的柔軟に少額案件にも対応してくれるケースが多くあります。そして、何よりも餅は餅屋。プロに任せることで、結果が出るスピードも精度も変わってきます。
実際、月5万〜10万円程度からでも受けてくれる方は少なくありません。また、企業の状況に応じて「最初は小さく、徐々にスケールアップ」という相談にも乗ってくれる場合が多いのです。

内製化の落とし穴に注意を
「広告も、自分たちでやれば安く済む」「デザインも、知り合いにお願いすればなんとかなる」「文章も、社内の誰かに書いてもらえばいいでしょ?」
──こう考える方も多いかもしれません。
たしかに、全てを内製化すればコストは抑えられます。でも、質とスピード、そして結果に直結するのが広告・制作・デザイン・コンテンツの領域です。ここをすべて内製化するのは、現実的にはかなり厳しいでしょう。特に小規模な会社では、限られた人材でマーケティングまで完結させるのは至難の業です。
小さな会社に必要なのは「発注力」
だからこそ、重要になってくるのが『発注力』という考え方です。
発注力とは、単に外注先を選ぶ力ではありません。
どこに任せるべきかを見極める力
適切な金額で、成果に繋がる依頼をする力
必要なときに、必要なだけ外部の力を借りる柔軟性
この3つを含んだ、『マーケティングを外にひらく力』のことです。
「大きな代理店には頼めないし、社内で全部やるのも限界がある」そんな時代だからこそ、小回りの効くプロたちとの連携が企業の生命線になります。
抑えておきたい3つの発注力
良い外注先を選べたとしても、「何をしてほしいのか」が伝わらなければ結果は出ません。発注力とは、相手に期待値を正しく伝える
① 発注力は『選ぶ力』だけじゃない
良い外注先を選べたとしても、「何をしてほしいのか」が伝わらなければ結果は出ません。発注力とは、相手に期待値を正しく伝える力も含まれます。
② 安さだけで選ばない。「相性」と「期待値のすり合わせ」がカギ
外注先を価格だけで選んでしまうと、思った成果が出なかったり、やり直しになったりと余分な手間が発生しかねません。価格と成果、そして価値観のバランスを見極める力も発注力の要素です。
③「どこまで頼むか」まで設計する
実は、「この範囲だけやってもらいたい」という線引きが発注の成功を左右します。全部丸ごと頼むのか、一部だけお願いするのか。役割分担の設計も立派な発注力です。
さいごに
『広告はもっと身近になっていい』
広告運用やクリエイティブ制作は、以前に比べてはるかに身近な存在になりました。少額予算でも、しっかり効果を出している企業はたくさんあります。
大切なのは、「できない」と諦めるのではなく、「どうすればできるか?」を考える視点を持つこと。
そして、その答えのひとつとして『発注力』があります。
無理に全部を自分たちで抱え込まず、必要な人に、必要な分だけ、適切に頼る。それが、小さな会社のマーケティングを前に進める最大の力になるのです。今回の記事が貴社の参考になれば嬉しく思います。
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