top of page
HS広告スタジオ シンボルマーク
english
japan
HS広告スタジオ ロゴマーク

名古屋市と四日市市のデザイン事務所|取材・撮影から一貫制作

「Webサイトはもう不要」は本当か?PHP問題をきっかけに、欧米のデータから考えるAI時代の企業の情報発信

執筆者の写真: saygo
saygo
6 分前
読了時間: 14分
first view

先日の2026年10月21日、Webサイトや業務システムで広く利用されているプログラミング言語「PHP」の重大な脆弱性が公表されました。国内外で対応に追われる企業や行政機関が相次ぎ、一部のWebサイトやサービスでは、安全を確保するための一時停止も行われました。


この出来事をきっかけに、改めて耳にするようになった意見があります。


  • もうWebサイトなんて必要ないのでは?

  • SNSがあれば、集客も情報発信もできる

  • 維持費やセキュリティ対策を考えたら、Webサイトを持たない方が合理的では?


確かに、もっともらしい意見です。SNSを通じて集客し、商品を販売し、仕事の依頼を受けることも珍しくなくなりました。企業の情報発信手段が増えている以上、Webサイトの必要性が以前と変わってきていることは事実でしょう。


しかし、本当にWebサイトは不要になっていくのでしょうか。


今回は制作会社の立場だけで判断するのではなく、AIを活用して欧米の企業動向や消費者行動を調べながら、これからのWebサイトの役割について考えてみたいと思います。



そもそも、欧米ではWebサイト離れが進んでいるのか?

最初に確認したいのは、海外企業の実態です。

デジタル技術の活用が進んでいる欧米で、企業のWebサイトは減っているのでしょうか。


欧州企業の約8割がWebサイトを保有

欧州統計局(Eurostat)が公表した2025年の企業ICT利用調査では、EU企業の79.02%がWebサイトを保有していました。同じく、SNSを利用していた企業は63.57%です。

デジタル活用

EU企業の利用・保有率

Webサイト

79.02%

SNS

63.57%

※原則として従業者10人以上の対象業種の企業。WebサイトとSNSは併用可能であり、排他的な選択肢ではありません。


注目したいのは、Webサイト保有率が2023年の78.25%から2025年には79.02%へと、わずかながら上昇していることです。さらに国別で見ると、フィンランドでは98%以上、デンマークでは約94%、ドイツやオランダでも約92%の企業がWebサイトを保有しています。


もちろん、欧州全体が同じ傾向というわけではありません。国によって普及率には差があります。それでも、少なくとも2025年までの統計からは、SNSの普及によって企業がWebサイトを一斉に手放しているという傾向は読み取れません。むしろ、WebサイトとSNSが共存していると考える方が自然でしょう。

■参考:


米国の中小企業もWebサイトを保有し続けている

次に米国です。

企業向けサービス比較会社Clutchが2025年に公表した調査では、米国の中小企業の83%がWebサイトを保有していると報告されています。2018年の64%から増加しているという結果です。


この調査は民間企業によるもので、欧州の公的統計と調査方法が同じではありません。

また、すべての業種や企業規模にそのまま当てはまるものでもありません。しかし、米国でもWebサイトの保有が広がってきたことを示す、一つの参考データにはなります。


なお、これらのデータは今回のPHP問題が起きる前のものです。今回の出来事を受けて企業の判断が今後どう変化するかは、継続的に確認する必要があります。


ただ、「欧米ではWebサイトを持たない方向に進んでいる」と一般化するのは、少なくとも現時点では適切ではなさそうです。


image pic 01
消費者は、SNSだけで企業を信用しているのか?

企業がWebサイトを持ち続ける理由を考えるうえで、もう一つ重要なのが消費者の行動です。

企業が情報を発信することと、消費者がその情報を受け取って行動することは、同じではありません。


いくらSNSで多くの人に情報が届いても、それが問い合わせや購入、取引に結びつかなければ、ビジネス上の成果としては不十分な場合もあります。


そこで参考になるのが、米国のローカルビジネスに関する消費者調査です。


良い口コミを見た後、54%が企業のWebサイトを確認

BrightLocalが公表した2026年の消費者調査では、好意的な口コミを読んだ後の行動として、次のような結果が報告されています。

好意的な口コミを読んだ後の行動

回答割合

企業のWebサイトを確認する

54%

企業のSNSを確認する

24%

※複数回答形式。米国のローカルビジネスに関する調査であり、すべてのBtoB取引や日本の消費者を対象としたものではありません。


注目したいのは、口コミで好意的な印象を持った後でも、企業のWebサイトを確認しようとする人が一定数存在することです。この結果だけで、Webサイトの方がSNSより信頼されていると断定することはできません。


しかし、人が何かを購入したり、サービスを利用したりするときには、最初に得た情報だけで判断するとは限らないことが分かります。


BtoBの取引なら、なおさら確認したいことがある

製造業の企業が新しい取引先を探している場面を想像してみてください。


SNSで、ある企業の存在を知ったとします。工場の写真が掲載され、働く社員の姿が紹介されている。技術へのこだわりも伝わってきます。興味を持つきっかけとしては、とても効果的でしょう。

しかし、実際に発注を検討する段階ではどうでしょうか。


  • どんな設備を持っているのか

  • どのような製品に対応できるのか

  • 品質管理はどうなっているのか

  • 過去にどんな実績があるのか

  • 企業の所在地や規模は

  • 問い合わせ先は


こうした情報を確認したくなるのではないでしょうか。もちろん、SNSでも情報を掲載することはできます。ただ、情報を整理し、必要な人が必要な情報へ迷わずアクセスできるようにする点では、Webサイトに利点があります。


SNSで興味を持つことと、

安心して取引を決めることは、

必ずしも同じではありません。


私たちは、この間をつなぐ役割がWebサイトにはあると考えています。



SNSとWebサイトは、どちらが優れているのか?

この問いについては、私たちは単純に優劣をつける必要はないと考えます。なぜなら、そもそも得意としている役割が異なるからです。


SNSは、企業と人との接点をつくることに適しています。日常の活動や社員の姿、経営者の考え方などを伝えやすく、継続的な発信によって親近感や共感を育てることができます。


一方、Webサイトは、企業の情報を体系的にまとめておくことに適しています。サービス内容、実績、会社概要、採用情報、問い合わせなど、顧客が確認したい情報を整理し、自社の方針に合わせて見せ方を設計できます。

例えば、次のような役割分担です。

SNS

Webサイト

企業の存在を知ってもらう

企業について詳しく知ってもらう

日常の活動を届ける

サービスや実績を整理する

親近感や共感を育てる

比較検討の材料を提供する

継続的な関係をつくる

問い合わせや取引の判断を支える

もちろん、SNSから直接購入に至ることもあれば、Webサイトの記事をきっかけに企業を知ることもあります。

必ずこの順序になるわけではありません。

それでも、両方を異なる役割の媒体として捉えることで、情報発信の目的は整理しやすくなります。


大切なのは、顧客が何を知りたいか

ここで考えたいのが、情報発信の主体です。

企業は、自分たちが発信したい情報を発信しがちです。


  • 新商品のお知らせ

  • イベントの案内

  • 社員紹介

  • 日々の活動報告


もちろん、それらも大切な情報です。しかし、顧客は必ずしも同じ情報を求めているとは限りません。

初めて取引する企業の担当者なら、安心して発注できるだけの具体的な情報を求めるでしょう。求職者なら、働く環境や企業文化を知りたいと思います。既存顧客なら、サポート情報や問い合わせ方法をすぐに確認したいはずです。


そう考えると、SNSかWebサイトかという二者択一よりも次の設計が重要になってきます。


顧客が判断するために必要な情報を、

どこに、どのように用意するのか


image pic 02
PHPの脆弱性問題は、Webサイトが不要になる理由なのか?

今回の出来事については、技術的な問題とWebサイトそのものの必要性を、分けて考える必要があります。

PHPは、WebサイトやWebシステムで広く利用されているプログラミング言語です。

WordPressをはじめ、PHPを利用しているシステムは数多く存在します。


今回の重大な脆弱性に対して、英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)や日本のIPAなどが、影響の確認と修正プログラムの適用を呼びかけました。

■参考:


WordPressを使っていなければ安全、というわけではない

ここは誤解されやすいところです。

WordPressはPHPを利用していますが、PHPを利用するシステムがすべてWordPressというわけではありません。

独自開発のWebサイトや、別のCMS、業務システムなどでもPHPが使われているケースは多くあります。また、外部サービスやサーバー環境の一部で利用されているケースもあります。


そのため、WordPressを利用していないという理由だけで、今回の問題と無関係だとは判断できません。

逆に、Webサイトを持っているすべての企業が同じ脆弱性の影響を受けるわけでもありません。必要なのは、実際に利用している技術や環境を確認し、適切な対応を取ることです。


SNSならセキュリティリスクがなくなるのか?

では、SNSだけで情報発信すれば安全なのでしょうか。これも単純ではありません。

SNSではWebサーバーやPHPを自社で管理する必要がなくなる一方で、別のリスクが存在します。


  • アカウントの乗っ取り

  • 不正アクセス

  • プラットフォームの仕様変更

  • 利用制限やアカウント停止

  • サービス障害


こうした問題が起きた場合、自社だけでは対応できないこともあります。

つまり、SNSに移行することでなくなる管理負担はあっても、すべてのリスクがなくなるわけではありません。


本当に見直すべきなのは、公開後の運用体制

私たちが今回の問題で重要だと感じているのは、Webサイトを制作した後のことです。


  • 公開して終わりになっていないでしょうか?

  • システムは定期的に更新されているでしょうか?

  • 脆弱性の情報を誰が確認しているのでしょうか?

  • 障害が発生したとき、誰が対応するのでしょうか?

  • バックアップや復旧の手順は決まっているでしょうか?


こうした体制が曖昧なまま、Webサイトを運用している企業もあるかもしれません。Webサイトを安全に運用するには、制作時だけでなく、公開後も継続的な管理が必要です。そして、必ずしも複雑な仕組みを導入することが正解ではありません。


  • 必要に応じて機能を減らす

  • 技術的にシンプルな構成を選ぶ

  • 外部の保守サービスを利用する


企業の規模や目的に合わせて、安全性と運用負担のバランスを考えることも大切です。


今回問われているのは、Webサイトの存在そのものではなく、それを安全に運用し続けられるかどうかではないでしょうか。


image pic 03
AI検索が普及すると、Webサイトは必要なくなる?

ここでもう一つ考えておきたいのが、AI検索の普及です。

これまでの検索では、利用者が検索結果に表示されたWebサイトを一つずつ確認し、情報を比較することが一般的でした。


しかし、AI検索では、質問に対して情報を整理した回答が示されるようになっています。場合によっては、利用者がWebサイトへアクセスせずに、ある程度の情報を得られることもあります。


そう考えると、Webサイトへのアクセスを増やすことだけを目的とした施策は、今後見直しが必要になるかもしれません。

ただし、ここで考えたいことがあります。


AIが企業について説明するとき、その情報はどこから来るのか

例えば、ある経営者がAIに質問したとします。

「名古屋で、製造業のブランディングからWeb制作まで相談できる会社を探しています」


そのときAIは、利用できる情報をもとに、条件に合いそうな企業を探したり説明したりします。情報源には、Webサイトだけでなく、SNS、口コミ、各種企業情報なども含まれ得ます。

しかし、企業の専門性や対応領域、実績、サービス内容などが明確に公開されていなければ、その企業について正確に理解することは難しくなります。


この意味で、Webサイトは今後も重要な情報源の一つになり得ます。

もちろん、WebサイトがあればAI検索で必ず紹介されるわけではありません。SNSだけで発見されるケースもあるでしょう。


重要なのは、企業が自らの事業や価値を、正確で分かりやすい情報として公開していることです。


AI検索時代だからこそ、一次情報を大切にしたい

企業の特徴や強み、提供するサービスの詳細を最も正確に説明できるのは、本来その企業自身です。


  • どんな仕事を得意としているのか

  • 他社との違いは何なのか

  • どのような考え方で仕事をしているのか

  • どんな顧客の課題を解決してきたのか


こうした情報は、企業の重要な資産です。

Webサイトには、その情報を整理して蓄積し、必要に応じて更新できる利点があります。AI検索が普及したとしても、正確な情報を公開し続けることの価値まで失われるわけではないと考えています。



すべての企業にWebサイトが必要なのか?

ここまでWebサイトの役割についてお伝えしてきましたが、私はすべての企業に必ずWebサイトが必要だとは考えていません。


例えば、地域の小さなお店で、Instagramから予約を受け付け十分な集客ができている場合、わざわざ大きなWebサイトを制作する必要性は低いかもしれません。個人のクリエイターがSNSを中心に活動し、仕事の相談や販売まで問題なく完結できている場合も同様です。


一方で、複数の担当者が関わる法人取引では事情が異なります。


  • 発注前に複数の企業を比較する製造業や建設業

  • サービス内容を十分に説明する必要のあるコンサルティング業

  • 企業としての信頼性や採用情報の公開が求められる中小企業


こうした事業では、公式Webサイトが重要な役割を担うことがあります。要するに、Webサイトが必要かどうかは、企業の業種や規模だけでなく、顧客の購買行動や情報ニーズによって判断すべきだということです。


Webサイトの必要性を判断する5つの質問

もし自社のWebサイトについて迷っているなら、次のことを考えてみてください。


  1. 顧客は問い合わせや購入の前に、何を確認したいのか

  2. SNSだけで、その情報を十分に届けられているか

  3. 初めて自社を知った人が、安心して相談できる状態になっているか

  4. 顧客が必要なときに、正確な情報へアクセスできるか

  5. その情報発信を、安全かつ継続的に運用できるか


この5つに答えていくことで、自社に必要な情報発信の形が見えてくるのではないでしょうか。大規模なWebサイトが必要な会社もあれば、数ページのシンプルなWebサイトで十分な会社もあります。もちろん、SNSを中心にした運用が合理的な会社もあるでしょう。

大切なのは、自社に必要な形を選ぶことです。


image pic 04
Webサイトの役割は、これから変わっていく

以前は、Webサイトを持つこと自体に価値がある時代もありました。企業のパンフレットをインターネット上に公開するような感覚で制作されていたWebサイトも少なくありません。

しかし、今は違います。


SNSがあり、動画があり、検索エンジンがあり、AI検索もあります。企業が顧客と接点を持つ方法は増えました。

だからこそ、Webサイトがすべてを担う必要はありません。


SNSが得意なことはSNSに任せればいい。

動画が効果的な内容は動画で伝えればいい。

そのうえで、企業を詳しく知りたい人、比較検討したい人、安心して問い合わせたい人に向けて、必要な情報を整理しておく。これもWebサイトの重要な役割だと思います。


今回のPHP問題によって、もう一つ明確になったこと

Webサイトは、作って公開すれば終わりというものではない。事業活動を支える情報基盤として、安全に維持し続けることまで考えなければならない、ということです。

制作する側も、発注する側も、ここへの認識をしっかりと変えていく必要があるのかもしれません。



まとめ
Webサイトが必要かどうかは、お客様の立場で考える

今回、欧米の企業動向や消費者行動を調べてみました。

欧州では、2025年時点で約8割の企業がWebサイトを保有しています。米国の中小企業を対象とした調査でも、Webサイトの保有率は高い水準にあります。さらに消費者調査では、口コミなどを通じて企業に興味を持った後、公式Webサイトを確認する行動も見られました。


これらのデータだけで、すべての企業にWebサイトが必要だと結論づけることはできません。しかし、Webサイトはもう不要だと断言できる状況でもないでしょう。今回のPHP問題は、確かにWebサイトを運用するリスクを改めて認識させる出来事でした。だからこそ、適切な保守管理や安全対策が重要になります。


一方で、セキュリティリスクがあることと、Webサイトの存在価値がなくなることは別の話です。そして私は、Webサイトの必要性を考えるうえで、最も大切なのは顧客の視点だと考えています。


  • 企業が何を発信したいかではなく、顧客が何を知りたいか

  • 企業にとって何が便利かではなく、顧客にとって何が安心につながるか

  • Webサイトを持つか、SNSを中心にするか


それを決めるのは、流行や周囲の意見ではありません。


顧客が安心して、その企業を選べる環境をつくれているかどうか。

私たちは、そこが判断基準になるべきだと思います。

Webサイトを持つことが目的なのではありません。情報を届け、理解してもらい、信頼を積み重ね、選んでもらうこと。そのための手段として、WebサイトもSNSも存在しているはずです。


今回の出来事は、Webサイトの必要性を否定するためではなく、企業がどのように情報を発信し、どのように顧客から信頼される存在になっていくのかを、改めて考える機会なのではないでしょうか。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。当記事が参考になれば嬉しく思います。



HS広告スタジオでは、Webサイトを単に企業情報を掲載する場所ではなく、お客様が企業を知り、理解し、安心して相談するための大切な接点だと考えています。そのために、まず企業の価値や強みを整理し、言葉や写真、デザインを通して伝わる形へと整えていきます。


Webサイトを新しくしたい。

今のWebサイトが本当に役に立っているのか分からない。

SNSとWebサイトの役割を整理したい。

そんなときは、制作することを前提にせず、まず何が必要なのかというところから、一緒に考えてみませんか。


link pic

bottom of page