「◯◯◯を作れます」だけでは、デザイナーは選ばれにくくなる。
- kyo

- 2 日前
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更新日:1 日前

「Webサイトもできます」
「ロゴもつくれます」
「パンフレットも、写真撮影もできます」
少し前までなら、できることの多さはクリエイターやデザイナー、さらには小さなデザイン事務所の強みになりました。もちろん、今もさまざまな制作に対応できることは強みのひとつです。
ただ最近、それだけでは少しずつ違いが伝わりにくくなっているように感じます。
なぜなら、「つくる」という行為そのもののハードルが、ものすごい勢いで下がっているからです。
特にAIが当たり前になった今、
文章を書く
画像をつくる
アイデアを出す
Webサイトを形にする
このような、これまで専門家に依頼していたことを、お客様自身でもできるようになりました。
だからといって、デザイナーが必要なくなるとは思っていません。
むしろ私は逆だと思っています。
「何を作るべきか」を判断する
作ることが簡単になればなるほど、「何を作るべきか」を判断できる人の価値は高くなります。
これからのデザイン事務所について考えた時、ここがとても大切になってくるように思います。
相談されたものを、そのまま作るだけでいいのか
例えば、「ホームページをリニューアルしたい」という相談をいただいたとします。
でも、話を聞いていくと、本当に問題なのはホームページではないことがあります。
会社の強みがうまく整理できていなかったり、創業当時とは事業内容が変わっていたり、これから増やしたい仕事と今の見せ方がズレていたり。
違いを理解する
そんな状態でWebサイトだけ新しくしても、数年後にはまた同じような問題が起こるでしょう。
「分かりました。新しくしましょう」と、そのまま制作に入っていいのか。
それとも、「その前に、一度整理した方がいいことがあります」と立ち止まれるのか。
私は、この違いがこれからますます大きくなると思っています。
デザイン事務所の価値は「制作」から「判断」へ
もちろん、デザインを作る技術は大切です。私自身も、Webやグラフィック、写真など、実際に手を動かして形にする仕事をしています。でも、その「作る前」には必ず「判断」があります。
誰に届けるのか
何を伝えるのか
何を一番目立たせるのか
何をあえて言わないのか
これらの整理ができた後に、何を作るべきかを判断します。
Webサイトをつくるのか
パンフレットをつくるのか
写真を撮り直すのか
会社の背景を知る
AIはたくさんの選択肢を出してくれます。
でも、選択肢が増えるほど、「この会社の場合は、どれを選ぶべきなのか」という判断が必要になります。
その判断には、会社の背景を知ることが欠かせません。
今まで何をしてきたのか。何に困っているのか。どこへ向かいたいのか。どんなお客様から選ばれたいのか。そこまで分かって初めて、「今回はこれを作りましょう」と言えるようになります。

「狭い」とは、業種を絞ることだけではない
ここで、仕事を「狭くする」ということについても考えてみたいと思います。
狭くすると聞くと、「美容業界専門」「建築会社専門」「飲食店専門」といったように、業種やターゲットを限定することを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、そうした専門性もひとつの方法です。でも私が考える「狭さ」は、少し違います。それは、
自分たちが、どこまで責任を持って関われるのかを決めること。
誰からでも仕事を受ける。頼まれたものは何でもつくる。ということではなく、
「この課題なら、自分たちは力になれる」
「ここから先は、別の専門家の方がいい」
と判断できることです。つまり、誰と、どんな課題に、どこまで関わるのか。その範囲を決める。
これも、ひとつの「狭くする」だと思っています。
「深く関わる」とは仕事を囲い込むことではない
では、「深く関わる」とは何でしょうか。
毎月たくさん仕事をもらうことでも、すべての制作物を任せてもらうことでもありません。それでは、単に取引量が増えているだけです。私が思う「深い関係」は、その会社のことを理解したうえで、一緒に判断できる関係です。
会社の歴史を知っている。
社長がこれからやりたいことを知っている。
今までどんな施策をしてきたのか知っている。
どんなことがうまくいって、どんなことがうまくいかなかったのかも知っている。
だからこそ、「今回はWebサイトを変えない方がいいと思います」と言える。
「今は広告より、営業資料を整えた方が良さそうです」と言える。
お客様に必要なことを判断をする
場合によっては、「これは僕たちより、別の専門家にお願いした方がいいですよ」と言える。
仕事を減らす可能性があったとしても、お客様にとって必要なことを判断をする。
そんな関係が続いていけば、次に何か困った時、「あそこに一度相談してみよう」と思い出してもらえる。
私は、そんな関係をつくっていきたいと思っています。

ブランディングは「選ぶ仕事」
これは、ブランディングにもよく似ています。
ブランディングというと、ロゴをつくる。Webサイトを統一する。ブランドカラーを決める。コピーを書く。
といった「制作」が目立ちます。でも、本当に大切なのはその前です。
誰に選ばれたいのか
何を強みにするのか
どんな仕事を増やしたいのか
反対にどんな仕事は減らしていきたいのか
どんな会社として覚えてもらいたいのか
すべてを伝えるのではなく何を伝えないのか
何を選ぶのかを決める
ブランディングとは、何かをたくさん足していくというより、自分たちは何を選ぶのかを決めていく仕事でもあります。だからこそ、表面的なヒアリングだけではなかなか答えが出ません。
最初は、「ホームページを新しくしたい」という話だったのに、何度か話しているうちに、「本当に変えたいのは、会社の見せ方そのものなんですね」と分かってくることがあります。
デザインをつくる前の、こうした時間。
実はここに、ブランディングの大切な部分があります。
AI時代だからこそ、「その人の判断基準」が見られる
AIを使えば、答えらしいものはすぐに出てきます。
「企業サイトに必要なコンテンツは?」「信頼感のある色は?」「ブランディングで大切なことは?」
と聞けば、かなり良い答えが返ってきます。
だからこれからは、「知っていること」だけでは違いを作りにくくなっていくでしょう。
その代わりに見られるのが、なぜ、その答えを選んだのか。という部分です。
なぜ今回はリニューアルを勧めないのか
なぜこのターゲットを追わないのか
なぜこの会社には、格好良さより親しみやすさが必要なのか
なぜ今は広告より、ブランドの整理を優先するのか
そこには、その人がこれまで見てきたものや、経験してきたこと、失敗してきたこと、仕事に対する価値観が表れます。それは、簡単にはコピーできません。
だからAI時代になるほど今まで以上に問われることがあります。それは、
どんな判断基準を持ったデザイナーなのか

デザイン事務所も、売上だけでは測れない
もちろん仕事なので、売上は大切です。利益が出なければ、事業は続きません。
ただ、売上だけを追いかけると、仕事を増やすこと自体が目的になってしまうことがあります。私なら、これからのデザイン事務所を考える時、少なくとも次の4つを大切にしたいと思っています。
1.収益性
たくさんの案件を抱えなくても、きちんと利益が残っているか。
2.継続性
毎回ゼロから営業しなくても、リピートや相談、紹介が生まれているか。
3.関係の深さ
「制作を頼む会社」ではなく、「まず相談する相手」になれているか。
4.仕事の可動性
目の前の制作だけで予定が埋まり、新しい挑戦や学び、面白そうな仕事に動けない状態になっていないか。
売上が増えていても、納期に追われ、相性の合わない仕事を抱え、頼まれたものをひたすらつくり続けている。
それでは、長く続けるのは苦しくなります。
逆に、案件数はそれほど多くなくても、必要としてくれるお客様としっかり関われて、十分な利益が残り、また相談してもらえて、新しいことに挑戦する余白もある。
私は、そんなデザイン事務所の方が強いと思っています。
「何を一緒に考えられますか?」
これから、デザインを作ること自体はもっと身近になっていくでしょう。
Webサイトをつくれる人も増える。
画像をつくれる人も増える。
文章を書ける人も増える。
だから、「何が作れますか?」という問いだけでは、デザイナーやクリエイター、そしてデザイン事務所の違いが見えにくくなります。その代わりに、次のような基準がお客様に選ばれる理由になっていきます。
どんな会社のどんな課題に向き合っているのか
どんな基準で判断しているのか
何を大切にして仕事をしているのか
何を一緒に考えてくれるのか
狭く、深い関係
広くたくさんの会社に知られることよりも、本当に必要としてくれる会社から、「一度相談してみたい」と思ってもらえること。そして仕事が終わったあとも、「また何かあったら相談したい」と思ってもらえること。
これからのデザイナーやクリエイター、そしてデザイン事務所には、そんな「狭く、深い関係」がますます大切になっていくのではないでしょうか。
デザインを売るのではなく、お客様がより良い選択をするためにデザインを使う。そんな仕事が、これからはより大切になっていくでしょう。今回も記事があなたの役に立てば、嬉しく思います。
私たち、HS広告スタジオは『根を張り花を咲かし続ける』、そのような成長し続けるブランディングをオーダーメイドしています。





